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『プラダを着た悪魔』

今頃?と思われるかもしれないけど、
やっと今日観た。わたしは何度も観たいのでDVD派だし、
手頃な値段になって買ってみた。

この映画が観た多くの女性の共感を呼ぶというのがよくわかる。
自分にも、わかる!と思う場面が幾つもあった。

たとえば、上司が頭の先からつま先までわたしのことを眺めて
「あんた自分を何様だと思ってるの?」と言葉に出さないで
伝えてくるときや、実際にそのセリフをいってくる時。

何度も直接議論しても、理解されず、会議では毎回却下されたとき。
無理難題なことを押し付けられて、選択ではなく、やるのが当然のように
命令される時…。

ただ、この映画には、オシャレやキラキラする女の子の魅力や
働く女性の戦いぶりや、リアルさが出てきて、
それがアン・ハザウェイやメリル・ストリープ、モードと共に
ワクワクする作品に仕上がっているというのが楽しめる。

私自身、ファッション雑誌を手がける大手出版社で
ある重要人物の秘書をしていたことがあるので、
すごくよくわかる場面もあった。
観終わって、そのときのことをずいぶん思い出した。
わたしは当時25歳くらいで、派遣社員だったし、
結局は1年以内に契約終了という形でクビになり、
自分でも秘書は向いてないということをやっていたときも、
その後も実感したものだったけど、
今思い出すとそのときの経験は無駄ではなく、勉強になったと思う。

自分のいたフロアには、優秀でファッションの編集に携わるような
人たちがいたけれど、わたしと彼らの間には、みえないけど
かなり分厚い壁があって、自分でも場違いな気がしていたし、
彼らもわたしをそのように扱っていた。
けれども、ファッション雑誌の作る裏側をほんの少しでも垣間見る
ことができたのは、興味深いことだったし、
彼らが華やかに見える中でどれほど、実は重労働しているかということや
体力的についていけず、何万人もの女の子の憧れの仕事を辞めてしまう人も
みていた。

わたしは、映画のように服はもらえなかったけど、時々化粧品のサンプルや
発売前のCDをもらえることがあって、実際に行かないショーやパーティーの
招待券が嗜好を凝らしたものであることを見たり、聞いたりして楽しんでいた。

そのとき、それこそ主人公が一番最初にサエなかったように、
わたしもモードとは関係ない格好をして、その大出版社の雑誌を読んだことも
無ければ、彼らの名前を知らなかったことも、あとになって悔やまれた。
わたしは、頑固だったので、密かにそれらに抵抗していたのだ。

辞めてから、時々、それらの雑誌を買ったり、立ち読みすることがある。
そうすると、かつて、自分と数メートルしか離れていないデスクに座っていた
彼らが、今でも活躍しているのを名前で確認することができる。

一つ、わたしにとって思い出なのは、その出版社の中で、当時は一番偉かった
会長についてだ。わたしは、あるお客さんが突然訪問され、会長は直接わたしは
携わっていなかったため、自分がお茶を出していいものか、迷ってしまった。
数分後、挙句に、お茶を入れてもっていくと、その訪問者は帰ってしまった後だった。
会長は、「せっかく淹れてくれたから。」とわたしのお茶を飲んでくださった。

身分違い、と思っていながら秘書をしていたわたしにとって、それはとても
なぐさめられる思いがする出来事だった。わたしが秘書をしていた方は、
big nameから重要なポジションに就いていたが、残念なことにファッション誌の
分野での才能がなく、結果としてすべてのポジションからおろされることになった。
他にも理由はあったし、わたしもそんなことがあって、契約が終わった(
自分が向いていないのにプラスして)のだけど、雑誌というものは、
毎年数え切れないほど創刊されては、消えていく。
その中で、いつもトップのモードを発信していく仕事がいかに、すごい
競争なのか、ということで社会を知った気がする。

そういえば、一度、間違えて、その出版社の中でも最も人気のある雑誌の編集長
(わたしですら名前を知っていた)の部屋に足を踏み入れてしまったことがあった。
そのときは、ものすごい殺気を感じて、すごすごと部屋を後にしたのを思い出した。

この映画をみていると、そんな25歳のわたしの失敗や、あの物を作り出す編集者たちの
独特の雰囲気、モードの華やかさとその裏の戦いについて思い出す。

それから、最近の自分に関していえば、わたしは多少成長したと信じたいけども、
いまでも業界は違うとはいえ、同じように戦い、そして変わらぬ自分を見出している。
ある意味、そんな自分(キャリアよりマイペース)を納得しつつ。

先日、そのさっき出てきた上から下までわたしを見る上司(女性)が、
わたしに彼女の出張のことで調べて欲しいと言ってきた。
(わたしは彼女の秘書ではないけど、彼女に頼まれた人は皆なんでもしなくては
ならない。そして、わたしも秘書が専門に自分の仕事でないから、案外そういう
仕事は嫌いではない。)
わたしがときたま一緒にお昼を食べている女の子は優秀で、資格を持っている。
わたしの上司とその子は、今年の春、ベルリンに出張が決まったから、
ホテルなど予約を調べて欲しいといわれたのであった。

わたしの友達はオシャレだし、上司も女性で偉い人なのでいろいろ知っているけども
わたしは自分でいうのもなんだけど、旅行の手配やネットでの調べ物を
得意としている上に、ベルリンも一昨年旅行しているので、多少行ったことのない
二人よりは土地勘がある。
ここがいいかな、とかあそこにしようかな、とか
調べていくと、自分がまるでベルリンのホテルに泊まれるような
気になって、楽しい反面、自分ではないのだ、と思った。

実は普通、海外出張は、もっとキャリアがある人から行っている印象があったので、
わたしとしては一緒に行くのが自分の友達だったことにちょっと驚いた。
ホテルをいいところに予約してくれたら、おみやげははずむわよ、
とその上司がいう。わたしは思わず、「おみやげはいいから、ベルリンに連れて
行ってくださいよ!」と本音を言ってしまった。
でも、スルーされた。

昔のように景気がよくないから、資格の無い自分が海外
出張することは今の状況では考えられないけど、
今でも海外出張には憧れがある。もしくは海外赴任。
でも、じゃあ、キャリアを目指していけば?といわれるのだけど、

今の自分は残業なし、資格のための勉強もする気がなし。
で、結局、家族や友達、自分の時間を大事に出来ているから
いいのだ、とも思うけど。

この映画の主人公のように、自分が本当にしたいことを見失わず、
仕事も進めていけたら、と思うし、もっと将来を考えようとも
思う。ただ、今は今の仕事でいっぱいいっぱいになっていて、
それで去年は日記も書けないほどだったのだけども。。。
I try my best! いまは。
by megtig | 2008-01-03 00:14 | cinema
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